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白老酒季125号

□薫風 〜社長便り〜
□HIDE AWAY 〜酒蔵お婿さん通信〜
□会長だより
「全国酒屋大会名古屋大会 その5」


 

 

 

Vol.50「新酒ご案内の季節になりました」 

 

皆さま、こんにちは。
朝晩の空気が冷たくなり、いよいよ今年も酒造りの季節がやってきました。

蔵では、今年も新しい蔵人さんを迎えて、仕込みが始まっています。
今年はとくに常滑出身の若い仲間たちが加わってくれて、地元の力を感じながらのスタートとなりました。
生産性を意識しつつも、手間ひまを惜しまず、白老らしい味わいを大切に、お客様の笑顔につながるお酒を醸していきたいと思っております。

さて、今年は酒米の価格がこれまでにないほど高騰し、コロナ禍よりもある一面では厳しい状況だと感じています。
私たちも予定通りに米が確保できず、製造計画の見直しを余儀なくされました。その影響で、来年2月の酒蔵開放でお届けするお酒の一部も、例年とは異なる内容となる予定です。
ただ、これは「いつもと違う白老」を楽しんでいただけるチャンスでもあります。新たな味わいを、ぜひご一緒に楽しんでいただければ幸いです。

お待ちかねの新酒は、まずは毎年人気の「初しぼり」と「若水純米しぼりたて生酒」から登場します。
今年の仕上がりはどんな風になるのでしょうか。私自身もとても楽しみにしています。

贈り物の季節には、お歳暮ギフトセットや、新登場の「本辛口 知多の土織(つちおり)」もおすすめです。
これにて、白老の「知多三部作」がついに完成いたしました。さらに、毎年ご好評いただいている「新酒頒布会セット」もご用意しております。

最後になりましたが、11月1日より清酒・梅酒・酒粕の価格改定を行いました。
大変心苦しいお知らせではありますが、持続可能な酒造りを続けていくための判断です。どうかご理解賜りますようお願い申し上げます。

皆さまの一年の締めくくりに、白老の味わいがそっと寄り添えますように。
引き続きのご愛顧を心よりお願い申し上げます。



2025年11月吉日
澤田酒造株式会社 澤田 薫

 

白老の知多三部作ついに完成しました!

 


 

Vol.68「日本酒ゴーアラウンド高知2025」

 

10月1日は「日本酒の日」。
この日に全国各地で開かれる日本酒イベント「日本酒ゴーアラウンド」は、ひとことで言うと“街ぐるみのはしご酒フェス”。
日本酒を愛する飲食店と蔵元がペアを組み、街中をお酒の香りで包みこむような一日です。
2008年に大阪で始まり、いまでは全国の街へと広がっています。

今年はご縁があり、高知県で開催された「日本酒ゴーアラウンド高知2025」に参加しました。
タッグを組んだのは高知市の人気店「酒の間 くろもしろも」さん。
以前、蔵にも来てくださったことがあり、念願だったコラボがようやく実現しました。

高知は、中部国際空港から飛行機でわずか1時間。蔵を出てから2時間もあれば市内に着くという、まさに“常滑特権”。
東京や大阪よりもずっと近い距離。
高知の方々は本当にお酒が好きで、食とお酒の関係がとても深い地域です。
普段から8割以上の方が地元・高知県産のお酒を飲むという、郷土愛あふれる土地でもあります。

高知の日本酒は、すっきりとした“キレのある辛口”が多く、白老とはまったく対照的なスタイル。
前日に現地入りして地酒を片っ端から飲んでみましたが、飲めば飲むほど「白老、浮いちゃうかも…」と不安が募りました。
ところが、ふたを開けてみれば心配はどこへやら。
平日にもかかわらずオープン前からお客様が並び、15時から22時までずっと満席。

「愛知から来ました」とお伝えすると、「ようこそ高知へ!」と笑顔で迎えてくださる方ばかり。
そんな温かい言葉に、胸がいっぱいになりました。
ご用意した振る舞い酒はすべて完売。
高知の伝説的バンド「DISCLOSE」のTシャツを着ていたところ、音楽の話題でも盛り上がり、「若水純米70%お団子ラベル」に描かれたソニック・ユースの話をしてくださる方も多く、高知らしい自由で楽しい空気を感じました。

「びっくりするほどおいしい」「評判を聞いて来ました」「白老を今まで知らなかったのが悔しい」など、うれしい言葉をたくさんいただき、あっという間の一日になりました。
高知の銘酒「文佳人」の綾さんからいただいた栄養ドリンクのおかげで、なんとか最後まで元気に乗り切ることができました。

前々職の「ヤマダストアー」時代には、高知のスーパーマーケットのレベルの高さに感動し、年に二度は視察に訪れていました。
久しぶりに訪れた高知で、あの頃と変わらない“食への意識の高さ”と“人のあたたかさ”を改めて感じました。
高知の皆さま、本当にありがとうございました。
今回のご縁を大切に、白老がこれからも“元気を届けるお酒”でいられるよう、これからも精一杯励んでいきたいと思います。

 

 

 


 

その五十一
明治時代の知多酒14 「全国酒屋大会名古屋大会 その5」

 

名古屋大会の顛末はまだ延々と続きますが、大方の方には読みにくいし専門的すぎると誠に不評のため、この「白老酒季」の限られた紙面では、もうちょっとわかりやすく知多酒の歴史を記していきたいと思います。
もう少し詳しくまた出典を示すなどした資料は、今後ホームページに記載したいと思います。
いつ実行できるかわかりませんが。

というわけで名古屋大会についてはいったん切りにしますが、この後8月31日に陳情書が松方大臣に手渡されました。

松方正義といえば明治24年組閣された第一次松方内閣において海軍力拡充のため製艦費を賄うため各方面に大幅な増税を行いますが、中でも酒造税は最も過激な目標の一つでした。
“朝野大衝突”の結果、翌年には内閣は解散に至り第二次伊藤内閣となり一時大幅増税案は宙に浮いたものの、松方は伊藤内閣に入閣して蔵相となり再び増税案が日の目をみます。
これに対抗するため全国の酒屋は12月8日各府県から部長が集まり、のちに「柳家会」と呼ばれる会議を開催、その対策を論議しています。
しかし、様々な努力がなされたものの増税策は回を重ね、造り酒屋は経営が成り立たず、知多の酒造家においても続々と店をたたまざるを得ない時代が続きます。

 

 

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