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白老酒季124号

□薫風 〜社長便り〜
□HIDE AWAY 〜酒蔵お婿さん通信〜
□会長だより
「明治時代の知多酒13 全国酒屋大会名古屋大会 その4」


 

 

 

Vol.49「残暑お見舞い申し上げます」 

 

皆さま、連日の厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
今月は「残暑を健やかに乗り切る、爽やかに楽しむ酒と発酵の特集号」をお届けいたします。

蔵の方では、梅仕事もようやく一段落し(梅干しの天日干しはもう少し続きますが…)、夏の風物詩「呑み切り」を無事に終えたところです。冬に仕込んだお酒の熟成具合を確認するこの行事、今年もお酒の状態は良好で、秋に向けて自信を持ってご案内できそうです。

とくに来月出荷予定の「冷やおろし」は、まろやかに熟し、秋の味覚とぴったり寄り添う味わいに仕上がっておりました。
また、9月18日(木)には、今年収穫した佐布里梅を漬け込んだ「白老梅ヌーボー2025」が解禁となります。

初回瓶詰めのみの数量限定品で、みずみずしい酸味と爽やかさが魅力の新酒梅酒です。おかげさまで毎年楽しみにしてくださるお客様も増えており、今年もご案内できることを大変嬉しく思っております。

先月になりますが、7月下旬に開催した「第4回 ハクロウこども夏まつり」では、地元の祭り囃子、地元小学6年生の手作りゲーム、駄菓子屋、地元豚屋さんのフランク、白老の仕込み水を使ったかき氷、PTAの皆さんによるビンゴ大会などなど、過去最多の来場をいただきました。
山から流れる仕込み水がつなぐご縁の中で、地域と学校の架け橋としての酒蔵の役割を、改めて感じる ひとときでもありました。今後もこのような活動を続けていきたいと思っております。

さて、誌面では、夏の疲れを癒すうすにごりの生酒や、ロックでも美味しい自然栽培米のお酒(うすにごりと火入れと飲み比べ できます!)、そして秋の季節の冷やおろしなどをご紹介しております。ノンアルコールの「佐布里梅の梅シロップ」も、今年は増産 できましたので、引き続きご案内可能です。

発酵食品として、漬物用の使いやすい1kg入りの踏み込み酒粕も発売を開始しました。
ぜひお元気に残暑を乗り切っていただければと思います。

最後に、大切なお知らせがございます。
原材料や資材の価格上昇を受け、11月1日より一部商品の価格を改定させていただくこととなりました。
ご愛飲いただいている皆さまには誠に心苦しい限りですが、どうかご理解賜りますようお願い申し上げます。

また、今年は「令和の米不足」とも言われるような状況もあり、酒米の価格も1.5倍ほどに上がる見込みです。
まだ最終的な見通しは立っておりませんが、全国の酒米産地でも水不足が心配されております。
こうした厳しい環境の中でも、炎天下で作物を育ててくださる農家の皆さまには、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも健やかで楽しい酒時間をお届けできますよう、蔵人一同、力を尽くしてまいります。
どうか皆さま、熱中症に気をつけて、元気にお過ごしくださいませ。



2025年8月吉日
澤田酒造株式会社 澤田 薫

 

小学校6年生が手作りゲームで盛り上げてくれました

 


 

Vol.68「Never goodbye. Thank you forever.」

 

「死に際」とか「死に様」って、正直あまり好きな言葉じゃないけど、オジー・オズボーンの最期には…素直に、そして偉そうに「さすが俺の愛した男だ。かっこよすぎる」と思ってしまった。

このコラムを書いている7月22日ブラック・サバスのフロントマンにして、ヘヴィメタルの帝王。世界中の音楽ファンに愛されたオジー・オズボーンが76歳でお亡くなりに。

オジーは2020年にパーキンソン病を公表し、歩行も困難になり、2023年にはツアーからの引退も発表して本当に心配していました。
亡くなるわずか2週間ほど前の7月5日、故郷バーミンガムでブラック・サバスのオリジナルメンバーとともに『Back to the Beginning』と題されたラストコンサートが開催されました。
10時間にわたる一大イベント。出演者は全員ノーギャラで、270億円以上の収益はすべて慈善団体に寄付されたという。

ロックだけでなく、すべての興行史に残る世紀の大イベントに。
歩けないオジーはじめ、老いぼれて観ていられないオリジナルメンバーたちが魂こもった一音一音をプレイする姿に涙が止まらなかった。
最高にかっこいい。

もしこの命を削った生前葬の様なコンサートがなければ、オジーは「もう一度ステージに立ちたかった」と思いながら余生を過ごしていたかもしれない。そう思うと、この一夜があったことは、悲しいニュースの中でも唯一「よかった」と思えたことだったと思います。

10代の頃は、ひたすらスピード感のある音に惹かれていて、サバスの重くて遅い曲は「なんか古いな」と敬遠していたのですが、ある日、中古CD屋でふと手に取ったのが「Vol.4」。
聴いた瞬間の衝撃は今での脳裏にカラーで再生することが出来ます。

なぜこれを遠ざけていたんだろう。

後悔と自責でいっぱいになり、それ以来、ジャンルや時代に縛られず、もっと自由に音楽を楽しもうと心に決めたきっかけにもなりました。

気づけば、「ブラック・サバスが好きな蔵元」として、あの世界的な音楽評論家の伊藤政則さんにも名前を覚えてもらえるようになり、新政の佐藤さんと一緒に「白老の酒を音楽に例えるなら、サバスだよね」言ってもらえたり、ほんと、ありがたい話。

私がオジーのライヴを生で観たのは、2002年Zeep大阪、2013年OZZFEST。
本当に手に届くような距離で雄姿を目に焼き付けたのが今でも忘れられないません。

オジーはステージ上でよく「I Love You All !!!」と叫んでいたけど、「I LoveYou OZZY !!!」と叫びたい。

 

 

 


 

その五十
明治時代の知多酒13 「全国酒屋大会名古屋大会 その4」

 

この質問に関して今中は「二重にはなりません。一つは地方団結より、一つは全国組合よりするもので二つは別物です。農商務の許 可を受けるのは制裁権を設けて組合の薄弱化を防ぐためです」と答えている。

ここで稲生は「何番デアッタカ、昨日委員ニ対シテ、本年二月東京大会決議ノ模様ヲ質問サレマシタ時ニ、武岡君ハ委員ノ資格ヲ 以テ之レニ答ヘ、軽減トハ現行ノ税率即チ一類ニ在テハ清酒ノ儘ニテ軽減ヲ求ムル訳デ、委員ノ眼中ニハ醪税ハ已ニ無シトノ如クニ 説明セラレマシタガ、私ガ同委員トシテ記臆スル所ニ依レバ、強チ左様ニ断定ウヲ下シタモノデナイト考ヘル、要スルニ二月大会ニ於 テ、現行律ノ儘軽減ヲ求ムルト醪課税法ニ依リテ軽減ヲ望ムトノ二派ニ分レ、議論ノ勢二者到底一括シガタキ有様アルヨリシテ、会員 等議場ノ有様ニ於テ大ニ憂フル所アリテ、二者ノ云フ所自ラ異ナル所アルモ、畢竟スルニ共ニ税金ノ減額ヲ求ムルニ外ナイト云フ所カ ラ、単ニ税率ノ軽減トシ、此文面ノ中ニ二派ヲ籠メ、政府議会ニ求ムルニモ只漠然ト軽減ト申立ツルガ宣シイト云フノ議論一決シテ遂 ニ纏リノ附キマシタ次第デ、文面上ヨリ一寸考フレハ現行酒税率ト見ヘマスガ、其実当時ノ模様ハ此ノ如キモノデアリマシタ、ツマリ二 者何レモ大目的ノ上ヨリハ小異ニ過キズトテ税率改正ト決シタルマデニテ確然清酒税トハ議決セナンダト覚ヘマス、諸君モ此辺ニ承 知アリテ御討議アリタウ存ジマス」と申し添えている。

<現代語にて意訳>

昨日、ある方から委員に対して「本年二月の東京大会での決議内容」について質問があり、その際に武岡氏は委員としてこう説明しました──「軽減とは、現行の税率、すなわち第一類の清酒税をそのままにして軽減を求めるものであり、委員の考えとしては醪税(もろみ税)はもはや問題にしていない」と。

しかし、私が同じ委員として記憶している限りでは、必ずしもそのように断定したものではありません。要するに、二月の大会では「現行税率のままで軽減を求める」派と、「醪課税法によって軽減を望む」派に分かれ、議論の流れから両者をまとめるのは難しい状況になりました。議場の雰囲気としてもこれを大いに憂慮する声があり、両派の主張には違いがあるものの、結局のところは「税金の減額を求める」という一点で一致していました。

そこで「税率の軽減」とだけ記し、その文面に二派の意見を含ませる形で、政府や議会に対しても漠然と「軽減」を申し立てるのがよいという議論がまとまり、最終的に落ち着いたのです。文面だけを見れば現行酒税率の軽減のように思えますが、当時の実際の経緯はこのようなものでした。つまり、二派の違いは大きな目的から見れば些細なものであり、「税率改正」と決議したにすぎず、確定的に清酒税だけと決議したわけではなかったと記憶しています。諸君もこの経緯を踏まえて討議されるのがよいかと思います。


 

そのあとも多数の論争があったが多数に依りて一次会原案異議なしと決定して第1号議案の二次会に移った。ここで再び醪課税の 問題が表面化した。(以下次号)

 

 

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