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白老酒季123号

□薫風 〜社長便り〜
□HIDE AWAY 〜酒蔵お婿さん通信〜
□会長だより
「明治時代の知多酒12 全国酒屋大会名古屋大会 その3」


 

 

 

Vol.48「まもなく梅雨入り、初夏の蔵だより」 

 

皆さま、こんにちは。 梅雨入り間近のこの季節、梅の実がふっくらと育ち、蔵にはやさしい香りがただよっています。

今年も、恒例の「梅のヘタ取りボランティアさん」にたくさんのお力添えをいただいております。
昨年よりも実りが良く、無事に仕込みが始められたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

5月から始まった「発酵ツーリズム東海~うまみの聖地巡礼~」では、澤田酒造も参加し、初日から酒蔵見学のご予約をいただくなど、にぎやかなスタートとなりました。
知多半島の食材と発酵文化を味わう体験イベントも実施し、地元の魅力を改めて感じる機会となりました。
7月まで、本企画のプログラムは開催されていますのでぜひリサーチしてお出かけしてみてくださいね!


さて、ちょうど一年前にリニューアルオープンした直営店舗「澤田北倉」。

お酒や調味料はもちろん、常滑焼の酒器や蔵オリジナルグッズなども並び、見て・選んで・楽しめる空間へと生まれ変わりました。
古い蔵を活かした落ち着きのある店内で、皆さまにゆったりとお買い物を楽しんでいただけるよう心がけています。

併設の「さかふね」では、土曜日限定で“角打ち”(立ち飲み)営業を行っています。
できたてのお酒や季節限定酒を気軽に味わっていただける、ちょっと大人の寄り道スポットです。
試飲しながら、酒造りの話を聞いたり、器との相性を試してみたり――
ふらりと遊びに来ていただけたら嬉しいです。

ところで、皆さまはもう万博に行かれましたか? わが家も近々、家族で出かける予定です。
澤田酒造の体験プランも、万博の周遊サイトに掲載されていますので、もし見かけたら「あ、白老だ!」と思っていただけたらうれしいです。

この夏も、うすにごりの生酒や夏のギフト商品、毎年ご好評の「梅シロップ」など、季節を彩る品々をご用意しています。
暑さに負けず、梅のパワーと発酵の力で、元気に夏を乗り切りましょう!

また皆さまと笑顔でお会いできますように。



2025年6月吉日
澤田酒造株式会社 澤田 薫

 

青梅のヘタ取りの様子。大勢の皆様に協力いただいて白老梅ができあがります。

 


 

Vol.67「Keep The Faith!白老、東京の百貨店初挑戦」

 

2025年4月、澤田酒造として初めて東京の百貨店催事に挑みました。

舞台は東武百貨店池袋店B1F「酒Market」。

この場所で一週間、白老の試飲販売会を行い、多くのお客様と出会うことができました。


「白老」という名前をご存知ない方が大半だろうと覚悟して臨んだ初日。
ところが、初日から特別純米「若水」が飛ぶように売れ、会場では「初めまして」のお客様との対話が絶えず続きました。


私が蔵に入って13年、色々な催事イベントに参加してきましたが、信じられない光景でした。

驚いたのはそれだけではなく、関東の人気ラジオ局bayFMのハードロック/ヘヴィメタル専門番組「Power Rock Today」のリスナー(RN:週刊中年ジャンプさん)が池袋で白老を試飲販売している情報を投稿していただき、番組を聴いて朝一番から、多く方が会場に足を運んでくださったことです。

世界的に有名な音楽評論家で番組DJの伊藤政則さんから「純米大吟醸 白老 知多の花露」をお褒めいただき、心の底から嬉しい瞬間でした。

政則さんの座右の銘でもある「Keep The Faith」の精神を私も持ち続けてきてよかったと、心底思いました。


今回の催事では、フレッシュなガス感のある生酒から、六年熟成のヴィンテージ、そして梅酒まで、幅広い白老ラインナップを揃えました。
東京近郊の皆さまに「これでもか!」というくらい、白老の個性を伝えたかったのが成功し、その挑戦は、これからの白老にとって大きな財産となったと思います。


Metalheads、Punx、日本モンキーセンターファンの皆さんなどなど、応援を届けてくれたすべての方々に、改めて心から感謝申し上げます。


これからももっともっと美味しいお酒を造り、また皆さまにお会いできるよう頑張ります。


来年も再びこの場所に立てるよう、進化を続けますので、今後とも白老をどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 


 

その四十九
明治時代の知多酒12 「全国酒屋大会名古屋大会 その3」

 

全国酒屋大会の会議の進行はなかなかスムーズにいかないもののとにかく進行していきます。
初日も日が傾きかけたころ、やっと第一号議案の審議にはいったものの、その日は午後5時40分閉会となった。

 

翌11日は午前10時半より議事が始められ、書記が原案を再び読み上げた。


第一号 本会ノ目的ハ左ノ如シ

  一 現行酒税率ノ軽減

  二 自家用料酒ノ取リ締マリ

第二号 本会ノ目的ヲ達セントスル順序ハ左ノ如シ

  一 本会ニ於テ委員九名ヲ撰挙シ各政党ヲ歴問シ政府及帝国議会ニ向ツテ請願拜ニ陳情スル事

  ニ 各府県同業者ニ於テ自府県ノ帝国議会議員ニ就キ同業ノ希望ヲ表陳スル事

  三 各府県若 クハ各府県内ノ毎団体ニ部長一人ヲ置キ本会ニ関スル一般ノ事務ヲ取扱フ事

第三号 請願書ハ本会評決ノ上全国同業者之レニ署名シ陳情書ハ委員ニ於テ便宜編制スル事

第四号 本業ノ発達ヲ企図スル為全国同業組合ヲ組織シ農商務大臣ノ認可ヲ受ル事

第五号 本会ハ来ル二十五年四五月ノ頃第三大会ヲ開ク事  
    但委員ニ於テ必要ト認ムルトキハ臨時大会ヲ開ク(コト)アルヘシ

第六号 本会ノ経費ハ二十四年六月ヨリ二十五年五月ヲ以テ期トシ収支方法ヲ設クルコト左ノ如シ

  一 金九百円 委員上京手當

  一 金六百円 諸費

    合計金壹千五百円

 右収入方法ハ本会参同者クハ参同者ノ代表セル戸数ニ造石高ニ折半シ徴収スル事

<現代語にて意訳>

第一号 本会の目的は以下の通りである
1.現在の酒税率の軽減を求めること
2.自家用に造る酒の取締りの改善(緩和)を求めること

第二号 本会の目的を達成するための手順は次の通りである
1.本会において9名の委員を選出し、各政党を訪問して、政府および帝国議会に対して請願・陳情を行うこと
2.各府県の同業者において、それぞれの地域選出の帝国議会議員に対して、同業者の希望を伝えること
3.各府県または府県内の各団体ごとに一人の部長を置き、本会に関する一般業務を担当すること

第三号 請願書は本会の評決に基づいて作成し、全国の同業者が署名すること。陳情書は委員が適宜編成すること。

第四号 本業(酒造業)の発展を図るため、全国同業組合を組織し、農商務大臣の認可を受けること

第五号 本会は来たる明治25年4月または5月ごろに第3回大会を開くこと
     ただし、委員が必要と認めたときは、臨時大会を開くことができる

第六号 本会の経費は明治24年6月から明治25年5月までの1年を会計期間とし、収支の方法は以下の通りとする
      金900円:委員の上京にかかる手当
      金600円:その他諸経費
      合計:金1,500円
     この費用は、本会の賛同者(または賛同者が代表する戸数)に対して、
     戸数および造石高(※生産量)に応じて折半し、徴収するものとする。


 

先ず四号議案から議事が開始されるや、さっそく
「全国同業組合を組織することになっているが、もうすでに組合を設けて官庁の認可を受けたものも、また主務省の許可を受けるのか。それでは二重になってしまうのではないか」
という質問が出されました。(以下次号)

 

 

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