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2023年9月2日と3日に開催した「白老 秋の蔵まつり vol.6」において、燗酒コーナーを担当いただいた熱燗DJつけたろうさんに、白老の燗酒の特徴や魅力などについてお話を伺いました。

 

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残暑の厳しい中で燗酒コーナー目指してくるお客さんに驚き

 

秋の蔵まつり当日は30度をゆうに超える厳しい残暑。その暑さの中、開始直後から一目散に燗酒コーナー目指してくる方がたくさんいらっしゃったのは驚愕でした。
これは本当にすごいことで、お客様は白老の燗酒が美味しいことがわかっている。だから蔵開きにきて燗酒を頼むんですね。これはとても特徴的なことだと思います。
そしてこの暑い時期に僕を呼んでいただいて燗酒のブースを設置するというところに澤田酒造の燗酒に対する本気度がうかがえます。

 

今日とても興味深いことがありました。
昔飲んだお酒によって日本酒が苦手になってしまったお客様がいらっしゃったんです。
そのお酒というのが「上撰」。10年ほど経って、僕がブース出しているからって寄ってくれたんです。同じ上撰を燗酒で飲んですごく美味しいとおっしゃっていただきました。
温めたことで改めて上撰のおいしさに気づいていただくことができて、それをわざわざ僕に伝えにきてくれた。嬉しかったですね。上撰の本当の良さを伝えることができたと思いました。

 

もう一つ特徴的だったことがあります。
今回4種類のお酒を燗酒で出したのですが、皆さん万遍なく飲んでいかれるんです。味わいも違うし、それに合わせて異なる温度で出しましたが、どれが特にたくさん出たというのがなく、万遍なく出ました。これは「白老は燗酒大体旨いよね」って思ってくれている裏返しだと思います。

 

酒器にも影響を受けます。今日はとても良い酒器を使っています。
普通野外のイベントでは絶対使わないような酒器で皆さん飲んでいただいているので、そのおいしさもあると思います。

 

 

自宅で燗酒を楽しむ時のポイントについて

 

ご自宅でも燗酒を気軽にやってみてほしいです。
特に上撰などは適当に雑に燗をつけても美味しいです。コスパに優れたガブガブ飲むお酒ですからね。電子レンジでも美味しくできます。若水純米も神経質にならなくても美味しい燗酒ができます。
電子レンジで温める場合、一つポイントがあります。徳利ごとレンチンして、その後ふきんなどで口を押さえて、2回シェイク。これだけですごく美味しくなります。

 

酒器についてはなんといっても平盃(平杯)が重要です。そして湯煎で温めた場合は徳利に移し変えることも大事です。
ずいぶん味わいが変わります。美味しくなります。
せっかく常滑なので、朱泥の徳利を用意していただいて作家物の平杯で楽しんでいただきだいですね。飲む器はすごく重要ですよ。

 

 

燗をつける時の考え方は自分の好みではなくお酒の持っているポテンシャルを引き出すこと

 

それぞれの温度について僕のレシピは少しマニアックです。
一番おいしく飲めるようにという点でいうと、まず澤田酒造のお酒は銅のちろりでつけるのが絶対美味しいと思います。すずじゃなくて銅。
今回のお酒の温度でいくと、万寿は38度、豊醸は51度、上撰は61度。
7号酵母についてはちょっと複雑になります。
まず、1合(180cc)を1対2(60ccと120cc)に分ける。
120ccを63度まで上げた後に60ccの常温を足して温度を下げてやります。
その後58度まで再び上げて、常温を10ccほど足す。
温めた徳利に移し替えて完成。着地は多分56度くらいになっていると思います。

意図は、3年寝ているお酒ですがまだ硬い。もう少し開きそうな感じがしました。一方で熟成が進んで軽い老香(ひねか)を感じます。なので開かせてあげながら、少しでてきている老香みないなのを抑えてあげたい。それで上げたり下げたり。

杜氏の三浦さんや澤田薫さん英敏さんがどんなイメージでこのお酒を造っているのか想像して、温めた時にこういう味わいであれば、このお酒の燗酒として喜んでもらえるのかなとイメージして燗をつけます。
自分の好みはどうでもよくて「それぞれのお酒が持っているポテンシャルを、温めた時においしく飲めるよう引き出す」ということを基本にして燗をつけています。

 

 

熱燗DJつけたろうさんがおすすめの「燗酒鉄板ペアリング」を試してみました

 

熱燗DJつけたろうさんにメディアの記事の中でこのように紹介していただきました。

「鉄板ペアリングは、51℃まで温めた『⽩⽼ 純⽶吟醸熟成酒 豊醸』とタンドリーチキン。白老の枯れた感じとスパイシー感の相性がよく、口の中でスパイスが再燃する感覚を楽しめます。ファミリーマートのスパイシーチキンに置き換えてもいけますよ。イベントで日本酒を全然飲んだことがない20代の女性から『飲みやすくておいしい』と言ってもらえたときはうれしかったですね。」
引用:

 

 


ということで、なんでもやってみる澤田酒造。
この鉄板ペアリングやってみました。


☆タンドリーチキンのレシピ

・鶏もも肉とムネ肉
(フォークで突き刺して味がしみやすいようにしておく)
・ヨーグルト100g
・ケチャップ 大さじ2弱
・カレー粉 大さじ1
・にんにく 2かけ(すりおろす)
・しょうが にんにくと同じくらい(すりおろす)
・塩 小さじ1
・醤油 小さじ1

上記のヨーグルト以下をビニール袋に入れて混ぜ合わせる。
そこに鶏肉をつけ込んで数時間寝かせる。今回は冷蔵庫で2時間寝かせ、焼く前に常温で30分寝かせました。
グリルで焼く。又はフライパンにオリーブオイルをひいて焼く。
豊醸は焼き上がりとタイミングをうまく合わせて湯煎で51度の熱燗に。

 

 

できました!

確かにスパイシーな感じと豊醸の燗酒の枯れた感じ、とても相性が良いです。
タンドリーチキンは高タンパク低脂肪で、カレーの香りが食欲をそそります。
猛暑の疲れからしっかり体を取り戻すのにバッチリです。
今回高タンパク低脂肪なムネ肉と、比較的脂質があってしっとり仕上がるモモ肉両方試してみました。
ムネ肉はたくさん食べても罪悪感が少ないですね。しっかりタンパク質を摂って夏の疲れを癒すのに良いと思います。
ヨーグルトに漬け込んだ効果なのか、パサパサ感はそれほど感じませんでした。
好みによりますが、お酒に合わせるならどちらかというと脂質のあるモモ肉の方がより相性が良いかも。
秋の夜長に豊醸とタンドリーチキン。ぜひ試してみてください。