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発酵食品が重なり合う知多半島独特の食文化

知多半島は、かつて200軒を超える酒蔵が存在したとされる、日本有数の酒どころでした。酒造りに用いられていた技術や道具は、やがて味噌やたまり醤油の製造にも活かされ、酒・味噌・醤油といった発酵食品が重なり合う独自の食文化を形成していきました。
この地域からは、酒造りから醤油や味噌、調味料へと事業を広げた盛田株式会社や、酒粕から酢を生み出し世界的企業へと成長した半田市のミツカンなど、醸造技術を背景に発展した企業も生まれています。澤田酒造は、こうした知多半島の醸造文化圏の流れの中で、170年を超えて現在も酒造りを続ける地酒蔵です。

 

 

土地の暮らしから定まった酒のかたち

その中で常滑は、日本六古窯の一つとして千年以上にわたり焼き物の産地として発展してきました。江戸時代後期から明治時代にかけては、建設資材としての陶管や衛生陶器などの大型陶器の製造が盛んになり、重労働に従事する職人たちの町としての性格を強めていきました。


こうした土地の暮らしの中で求められたのは、力強く、食事に寄り添うお酒。味噌やたまり醤油を多用した濃い味付けの料理が日常であった常滑では、淡麗で軽いお酒では食に負けてしまいます。白老のお酒が伝統的に「濃醇旨口」を特徴としてきたのは、嗜好の結果ではなく、この地域の日々の食から自然に導かれた選択でした。結果として形成されていったものです。

 

 

原料選びに表れる考え方

白老の酒造りに欠かせないのが、地元産の酒米です。
澤田酒造では、愛知県産の「若水」や「夢吟香」を中心に、契約農家と連携した酒米づくりを行っています。若水は溶けやすく、お米の味が出やすい性質を持ち、濃醇な酒質に適した品種です。


かつて若水が政策上の理由から、県の奨励品種指定除外の危機に瀕した際には、蔵自らが生産者を支援し、この米を守り続けてきました。それは希少性や話題性を求めたからではなく、この土地の食文化に合う酒を造るために必要な米であり、地域の気候や土壌に合う米であったからです。


地域の気候や土壌に合う米であれば、栽培に無理がなく農薬を抑えることができます。また、知多半島特有の肥持ちの良い土壌によって肥料の使用量を抑えることもできます。肥料を抑えることができれば害虫予防にもなります。


地元酒米の減農薬栽培は環境配慮を目的として始めたものではなく、知多半島の気候や土壌の特徴を生かした結果、自然に定着してきた取り組みなのです。

 

 

水とともに続く酒造り

酒造りに用いる仕込み水も、白老の酒質を形づくる重要な要素です。

澤田酒造では、江戸時代より知多半島丘陵部に湧き出る水を私設水道で引き、現在も使用しています。素直で柔らかな軟水は、白老のふくらみのある味わいを支えています。
この水を守りながら使い続けることは、結果として里山や海の環境を守ることにもつながってきましたが、それもまた、土地と向き合い続けてきた酒造りの延長線上にあるものです。

 

 

酒蔵を「地域を伝える場」として捉える考え方

澤田酒造では長年にわたり、この地域の発酵食文化、農業や水との関係を酒造りのベースにしてきました。

約40年前から酒蔵開放も始め、地域の皆さまに酒造りの現場を開いてきました。酒蔵は単なる製造の場ではなく、土地の歴史や産業、食文化を伝える場でもあるというのが、その考え方のもとになっています。

近年、テロワールという概念でその土地固有の「気候・土壌・地形・歴史・文化」といった自然環境や生産背景、特徴を重視する考え方が見直されています。

私たち澤田酒造もその考え方には非常に共感をしています。
ただ、澤田酒造の酒造りは、もともとテロワールという概念を意識して始まったものではありません。知多半島という土地の食文化や産業に寄り添い、地域で必要とされてきた酒を造り続けてきた、経営の姿勢そのものといっても過言ではありません。

特別な技術や新しい理論ではなく、地域に根ざした酒造りを継続してきた結果として、その歩みが、ワインの世界で用いられてきた「テロワール」という概念とよく似た構造を持っていることがわかり、「テロワール」という言葉で説明されるようになったのです。

白老という酒は、知多半島の暮らしの中で育まれてきました。
その背景を整理し伝えることは、お酒を楽しんでいただくだけでなく、地域を理解する入口にもなりうると考えています。

 

English version available here

 

 

第三者の視点として
(少し告知です)

2026年元日夜に放送されたNHKの番組「最深日本研究 〜外国人博士の目〜 日本酒を知りたい」では、フランス出身の文化地理学者ボーメール・ニコラ氏が日本各地を巡り、その調査の結果がまとめられています。
その中で、澤田酒造の取り組みを「日本酒の新しい潮流」としてたくさん紹介いただきました。
その模様はNHK ONEでは1月8日(木)午後11時18分まで配信されています。
また、1月12日(月)の深夜には再放送が予定されています。

お見逃しの方はぜひご覧くださいませ。

(画像をタップするとリンクが開きます)

 

 


補足「酒米 若水を100%使用した商品です。
こちらも紹介させてください」

 

 

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