やっと町に賑わいが戻ってきたのに、感染拡大が再び押し寄せています。大変不安を感じていますが、皆様にはお酒をたくさんご注文いただき大変ありがたく、あたたかいお志に深く感謝いたしております。
お酒と生物的な災害で最大のものは、ワイン用ブドウのフィロキセラが有名です。アブラムシの一種で根にこぶを作ってその中で繁殖します。もとは新しい品種を求めてアメリカから輸入したブドウの苗木が汚染されていて、耐性の無いヨーロッパのブドウに瞬く間にまん延した人為的な原因です。何度か世界的流行を繰り返しますが、この知多地方でも明治中期、広大な土地に植えたワイン用ブドウが全滅するなど大きな被害が出ました。
見た目同じように根にこぶを作るものに、根頭癌腫病という細菌病があります。ブドウもですが、桃や梨、カキやクリ、バラなど人と縁の深い植物にかかる厄介なバクテリアです。細菌ではありますが、やることはなかなか高度で、傷口などから植物に入り込んで細胞に接着し、栄養になるアミノ酸を生産させるため菌体内のDNAを植物の遺伝子に組み込ませ、その結果として癌化するというものです。今回のウイルスもですが生物の生きるためのメカニズムには驚かされます。彼らに何の悪意もありませんが、人間の都合だけで環境をいじると手痛いしっぺ返しが来るような気がします。
澤田 研一