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今年は寒波らしい寒波がやってきませんでした。常滑ではほとんど氷も張らなかったです。そんな年ですが、1月26日、碧南市役所を会場に第8回COREZO賞の表彰式と表彰者が出展するマルシェが開催されました。数年前に、小布施で行われた第3回COREZO賞で受賞したお話を書かせて頂きましたが、今年も表彰していただきました。今回初めて読まれる方や、たぶんほとんどの方が忘れたことと思いますので、COREZO賞?なに、それと思われると思います。効率優先の時代に合って、真っ当であたりまえなことをすること自体がとても難しい時代です。そんな中にあってまだまだ、それを当たり前に続けている人たちがいます。そんな人を表彰することで、ホンモノの食づくり、モノづくり、技、生活の知恵や文化を、次の世代につなぐネットワークを拡げることを目的にしています。

COREZO財団の平野さんの個人的な想いの強い「権威なし」「名誉なし」「賞金なし」の三拍子そろった!賞です。年々賛同者が増えているのは大変良いことですし、本来表彰会場は持ち回りなのに三年連続で会場を提供していただいている太っ腹の碧南市さんにも皆感謝しています。最初のころはなんか胡散臭い集まり!みたいな冷たい扱いをされていたのに比べると碧南市の居心地の良さが身に沁みます。

今年も受賞者のコメントが大変興味深かったですが、紙面の関係でお一人だけ紹介します。「出汁の関心が深まってきましたが、みなさん、鰹節が35年前大きく変わったことをご存知ですか?」という平野さんの質問を受けて「鰹節は長い歴史があり、百数十年前に今のような鰹節の製法が完成しましたが、三十年ほど前カツオの獲り方が変わりました。どう変わったかというとそれまでの一本釣りから、コストの安い巻き網業法で獲ったカツオを用いるようになったのです。その結果、魚体が痛み本来のうまみを出すことが出来なくなり、沢山の量の鰹節を入れないと思うような出汁が出なくなりました。本物の鰹節なら今の五分の一で十分なのです。結局使う人のコストは変わらないのですが、今や一本釣りのカツオを用いた鰹節製造者は鹿児島の一軒だけになってしまいました。」とのことでした。全体に受賞の皆さん、素材を大切にされているのが印象的でしたが、こうした製造者の心意気を何とか広めていきたいと思った一日でした。

澤田 研一