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5.組立 3日目

 三日目の朝、昨日とうってかわって上天気です。後2本タガを作って嵌めなければなりません。昨日は何せ5年ぶりということで少々手間取りましたが、慣れてきたため今日は順調な滑り出しです。

 お昼ご飯までに2本目のタガも嵌まりました。

 午後になると、今まで逆さまにおかれていた桶がひっくり返されます。外側は鉄タガやら竹タガを嵌めるために苦労の汚れがついて、なんとなく薄汚れたような感じがしましたが、中は杉のまっさら。杉独特の美しい木目がとてもきれいで神々しいほどです。作業を見守るギャラリーからも「おおっ」と言う声にならない歓声が起こりました。

 次にタガの飛び出した竹を切り取り、桶の上の端を削ってお化粧をしたりして、すっかり見違えるようになってほぼ出来上がりました。

 最後に釜の蒸気が通る穴を底板にあけます。穴の直径は3寸。

 三日目もそろそろ日がかげる頃、見事に甑が完成しました。そばで見ているだけでも力のいった三日間、まさに職人仕事の精髄を見た思いに、記念写真をとるのも忘れてただただ見つめているだけでした。

 タガだってもう少しゆるくしておけば、あんなに苦労しなくてもできるのに、それでは出来上がってからの、米の蒸しあがりや甑の耐久性に影響してくるため、決して妥協するということがありません。石川さんに以前聞いたことですが、「貧乏は恥じゃない。人からいい加減な仕事だといわれるのが恥だ。そう、親父からよく言われたもんだ」という言葉が思い出されました。酒造りも結局一緒のことではないかと思います。足をいためて、前の日まで起きられなかった石川さん、そして3人のお手伝いを頂いた方々の、身を削るような努力の結晶であるこの「甑」、大切に大切に、そして真剣に酒造りに取り組まねばと強く思った3日間でした。

 


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