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5.組立 2日目

 さて、二日目になりました。昨日とはうってかわってどんより曇って、いまにも降り出しそうな天気です。天気予報では曇りのち雨ということで、午前中だけでもできるかなと心配です。底に鉄の帯タガをはめている中、ついに雨が降り出しました。激しい雨に、慌ててシートをかぶせて雨宿り。今日はもうだめかとあきらめましたが、運良く三十分ほどで雨がやんでくれました。

 一方、作業場の前の道で竹タガもあわせて編み上げられていきます。前回のときは豊田市の山からとった竹を用いましたが、今回は竹を切る人がいなくなったためと、甑の大きさを変えたために長くなければならず、要求したものが手に入らないので、やむなく茨城県のものを用いました。本当は長さ12m以上のものが欲しかったのですが、そんな訳でやむなく継いでいくことにしましたが、さてうまく締まるか心配そうです。

  タガは本来1本の竹を、このクラスですと八割りにして用います。タガ自体にかかる力はものすごいものがあり、この力に耐える丈夫さが要求されます。また、編み上げていく過程でしなやかさがないと竹が折れてしまうので、これらの要求に合った竹が欲しいのですが、近くにはないのが実情です。しかも、ちゃんと割るのは「竹割り三年」という言葉があるくらい難しいものです。きれいに割れたらその後で、節を削り落として平滑にしたり、裏を削って加工したりと、これも熟練を要します。いい加減だとうまく編み上げられませんし、それほどでなくても、タガを組むのに余分な手間がかかります。 

 この地方は酒の産地であったため、その周辺産業も盛んで、幸い今でも竹屋さんが残っています。最近では灘にある四斗樽メーカーのタガ用の竹も引き受けているくらいで、そこにご無理を言いました。


 まず、桶に直接竹を当てて大きさを見て、印をつけ、二本の竹をよくしなうように足で踏んで曲がりをつけます。次に編み始めますが、長い竹がむちのようにしなって、見ていると簡単そうです。が、絶対私には真似のできない技です。だんだん竹の上の方になってくるとタガらしい形になってきます。「矢」という道具で、編んだ竹の中に竹を差し込んでいきます。何度見ていても、どこにどうさすのか分かりません。さらに二本の竹を差し込んで、着実に編まれていきます。途中、実際に桶にかぶせて寸法を調整しながら(一旦組みあがってしまったら、わずかに緩めることはできますが、締めることはできない)慎重に組みます。

 こうして調整を繰り返しながらタガが完成します。オーケーとなったら、タガの裏に入れる芯を作ります。もっと大きな桶の場合は、杉の丸太を半分に割ったものを入れるそうですが、甑の場合は竹に縄を巻いたものを用います。これがないとタガが平たくつぶれてうまく嵌まらないのと、完成したときタガが立体的に見えて、見た目が立派だという意味もあるそうです。実用一点張りみたいで、意外と見た目も気にするものなのかとちょっと意外でした。これも職人の粋なのかもしれません。

 

 桶にタガをはめる作業がまた大変です。何度も水をかけてすべりをよくしながら叩き込んでいきます。できる限りきつく、ちょっと入らないんじゃないかというところまで小さくしてありますのでなかなか入りません。

 午後になり、地元の神主さんにお払いをしてもらいました。

 大変な苦労の末、二本目のタガが嵌まったのは、もう日もとっぷり暮れた五時半でした。

 


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