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5.組立 1日目

いよいよ10月25日(金)26日(土)27日(日)の三日間で組立です。

25日、朝8時から仕事が始まります。仕事場は手伝いの大工さんの仕事場をお借りしました。前回も手伝って頂いた三人の大工さんにお願いして、石川さんは今回はもっぱら監督役に回りますが、表情を見ているとやっぱりさびしそう。

秋晴れのすがすがしい天気に恵まれていよいよ組立作業が始まります。

まず、馬を組み立ててその上に底板を乗せます。底板は竹くぎだけで接合してあるので、外れないように作業中は裏側から仮留がしてあります。(出来上がれば側板が周りからがっちりはまってタガが固定されるので問題ありません) 

 次に側板を順に並べ、竹くぎで接合していきます。底板の周囲と側板の幅は同じはずですが、それは出来上がりの寸法。実際には側板のほうがかなり長くて見た目はぶかぶかです。今から三日間かけて板を締め上げて圧縮して、最終的にぴったり嵌まるようにします。

 側板の回りに布の帯をかけて締め上げたところ、やはり側板の幅が足りません。木の硬さ(しまり具合)によってどれだけ余分をとるか、まさに経験と勘の世界です。現時点から3寸余分にすることに決定しました。


これが「かま」です

急遽、側板を追加製作します。幅と高さを所定の寸法に切って、「かま」をかけながら仕上げていきます。
 「かま」とは、甑や桶を作るときに用いる道具で、実にこれ1本だけが設計図代わりです。今回のは、たまたまぴったりの大きさのものを、石川さんが倉庫から出してきました。因みに「昭和26年11月11日、岡崎、丸石醸造」とスミで書いてあります。石川さんの記憶はたいしたもので、戦争中爆撃で蔵が火事で焼けてしまったため、いっとき間に合わせを使った後で、新規に作ったものだ・・・、とそのときの様子もはっきり覚えておられます。

桶は丸いので、側板の表と裏をカーブをつけて削ります。そのアールを出すために「かま」を当てて確かめながら削っていきます。又、側板と側板の当たりが大切です。はじめからから面と面がぴったりあってしまっては締まって行かないので、少し角度を多めにして、内側がより強くあたるようにします。そのための基準になるのが「かま」というわけです。余談ですが、石川さんによれば寸法を「計る」ことから、それが転じて人を計る、つまり「かまをかける」という言葉の語源だと言われます。真偽は定かではありませんが、なんとなく納得します。 


「かま」を当てているところ

 板ができると、竹くぎの位置を確認してポンチで印をつけ、ドリルで穴を開けて竹くぎを打ちこんで板と板を合わせ、当て木を当てながら小槌でたたいて合わせます。


 追加した板をはめ込んで、”ネコ”と呼ばれる鉄棒を締めこんだ頃にはお昼になりました。





午後、ネコのねじを少しづつ締め上げます。鉄棒をじょうばんで叩きながら息をあわせて締め上げます。ぐるぐる回りながら叩いていくと、均一に側板がしまっていきます。これがまた大変な作業で、全力で力を込めていくのですが、途中どうにもこれ以上しまらなくなったところで、若い大工さんが全身を使って勢い良く締め上げたとたん、バン!という大きな音と共に鉄棒が切れてしまいました。「だめだよ。急にやっちゃ」とお叱りの声がすかさず飛びます。そんなこと言っても力を入れなきゃ締まらないし、力を入れるにはこれしかないのに・・・、と思いながら見ていましたが、その後は、じわじわゆっくり、限界ぎりぎりのところを感じ取りながら締めていく腕のよさには感心しました。

ところが、その後それでも締まりきらずに必死の力を3人がかりで発揮して「さあ、もう少し」というところで、再び鉄棒のねじがなめてしまって、また最初からやり直し。そのたびに、鉄棒のねじ山を切り直しての作業です。ほぼ締まったところで、底板を一旦はずして、側板の内側にぐるっとノコギリ目を入れ、ノミで斜めに切欠きを入れます。底をとっても、ねこと布帯でしっかり締め付けられているので、側板は丸いままです。

 
なんか浮世絵にあったような風景です。


電気ノコギリで切れ目を入れた後、ノミで斜めにはつります。


しっかり締められているので簡単には嵌まりません。あて木を当てて槌で叩き込みます

 

底板を嵌める加工をする一方で、底に巻く鉄タガの準備が始まりました。鉄の帯には違いないのですが、これも桶にあわせてテーパーがついている特殊なもので、今はもうできないので、古い桶からとったものをリサイクルして使います。
 


一度桶底に仮にかけて寸法を出した上で、ポンチで帯金に穴をあけ、リベットで留めます。もうこのリベットも手持ちのものがわずかしかありませんが、新たに注文すると二万個発注しないと作ってもらえないのだと石川さんがこぼします。鉄タガをハンマーで少しずつ叩いて桶に密着させながら、楔のような道具を当てて叩き込みます。

 


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