皆さま、本年もよろしくお願いいたします。今年もよい年でありますように。
正月には、おせち料理を堪能されたことと思います。最近洋風おせちにバルサミコ酢を見かけるようになってきました。良いものは大変高価ですがおいしいですね。製法はとても手間がかかっていて、赤白のブドウ果汁を入れた樽の中で、モデナなど産地の大きな寒暖差を利用して夏の発酵、冬の熟成を繰り返し、順次、次の樽に移しかえていきます。これを12年(以上) 繰り返すことで最高のバルサミコ酢が出来上がるのですが、この移し変える樽も桑、樫、ジュニパー、樫、桑、ロビニア、チェリー、栗、栗、樫と材質を変えて微妙な風味をつけていくのだそうです。この地モデナの半端ないこだわりが、あのフェラーリを生んだような気がします。
日本酒の「樽」や道具、建物の酒造りのための工夫もイタリアに負けていません。麹や酵母が居心地が良いように、自然環境に従いつつ、温度や湿度が急激に変化せず、寒すぎて発酵が緩慢になったり、温度が高すぎて急激に“わきつく”ことが無いように微生物にやさしく設計されています。この結果として、自然の持つ複雑微妙な風味が活きた穏やかな味わいの酒(や食べ物)ができるのですが、どうも第一印象がわかりやすく、インパクトのある味や香りのものが評価される傾向にあるようでちょっと残念です。
ここでは紙数が無いので、今年の酒蔵開放の折に大切に使っている蔵や道具の実物をぜひご覧になってください。できる限り説明させて頂きます。

澤田 研一